みだれうち5 カレシ強●交代編の見どころ

【レビュー】みだれうち5 カレシ強●交代編

“愛と屈辱の狭間で揺れる彼女の選択——。”

人気シリーズ「みだれうち」第5作目。
これまで積み上げられた人間関係と因縁がついに交錯し、ヒロイン・北村香織の運命がさらに深く、危うい方向へと踏み込んでいく。
タイトル通り「カレシ強●交代編」と銘打たれた本作は、シリーズの中でも最も心理的な衝撃と肉体的な緊迫感を併せ持つ一作だ。

テニス部部長として輝かしい実績を誇った北村香織。
しかし後輩・佐々木亜美の嫉妬と陰謀によって、彼女の青春は歪んだ形で崩れていった。

退部後、テニスコートから遠ざかる日々。
そんな中、香織はサッカー部の助っ人マネージャーとして夏合宿に参加することになる。
そこで出会ったのが、サッカー部の中心人物であり、二軍を束ねる男——雄一。

香織の強さと美しさに惹かれた雄一は、次第に彼女への欲望を募らせ、ついには大胆な行動に出る。
合宿後、香織とその恋人・正也の前に現れ、「香織を賭けて勝負をしてほしい」と言い放つ雄一。
最初は冗談半分だった正也も、プライドからその勝負を受けてしまう。

しかし、その結果が二人の関係を決定的に狂わせていくことになる——。

北村香織
元エースの誇りを持ちながらも、心も体も翻弄され続けるヒロイン。
今作では、肉体的な快楽と精神的な支配の狭間で揺れる“女性の弱さと強さ”がより繊細に描かれる。

雄一
狡猾かつ冷静。だが、その裏には香織を“奪いたい”という純粋な欲望が潜む。
力で支配しようとする彼の存在は、物語全体に緊張感をもたらす。

正也
香織の幼なじみであり、唯一の支えでもある存在。
彼女を守りたいという想いが裏目に出てしまうあたりに、シリーズ特有の“皮肉な人間模様”が光る。

早川希美・佐々木亜美らサブキャラも物語の背景を補完し、香織を取り巻く関係がより複雑に絡み合っていく。

シリーズ随一の緊張感ある展開
　肉体的支配よりも、“関係が壊れていく過程”の描写が秀逸。読者は香織の心理と同調し、抗えない流れに引き込まれる。
ドラマ性の高さ
　単なる凌辱劇ではなく、登場人物の過去と感情が絡み合うヒューマンドラマ的要素が濃厚。
　「勝負」というテーマを通じて、愛・執着・欲望の三つ巴が描かれる。
全ページフルカラーの完成度
　81ページすべてがフルカラーで、絵のクオリティも高水準。
　キャラの表情変化や汗・涙などのディテールに“生々しさ”が宿る。